漆喰(しっくい)壁の仕上げは珪藻土と何が違うメリット・デメリットを探る
内装・室内仕上げで一般的な仕上げはクロスがあります。クロスの中にもビニールクロスや自然系クロスの紙クロスや、珪藻土クロスなど色々種類があります。クロス意外の仕上げとしては漆喰と珪藻土。
今回はお膝元の姫路城の仕上げでもお馴染みの【漆喰壁】についてどんな商品なのか?室内仕上げには使いやすいのか?を少し調べてみました。
目次
漆喰(しっくい)とは?
漆喰は古くから使われている素材で、城などの歴史的建造物をはじめ、民家など、建築関連の分野で幅広く使われて来ました。日本の古い町並みを見ると、建物の外壁に漆喰がどれだけ使われて来たかを見ることが出来ます。漆喰は非常に多く使われて来た材料なのです。
また、漆喰は日本の建築物だけでなく欧州などでも見られ、イタリアやフランス、そしてエーゲ海周辺でも外壁の材料として多く用いられています。
エーゲ海のまわりに見える建物は、まさに漆喰の建物とも言うことが出来ます。
その様な歴史的背景を考えると、漆喰は様々な場所で、古くから実績を積み上げて来た高性能の材料と言えるでしょう。
漆喰は外装だけでなく内装にも多く使われており、特に漆喰を使って作った独特のテクスチュアは、室内の雰囲気をより豊かに彩っています。
漆喰は洋の東西を問わず、建物の外壁にも内装にも多く使われて来た建築材料と言えるのです。
漆喰の主成分は水酸化カルシウムと炭酸カルシウムです。特徴としては防水性を持ち、不燃素材としても使えます。また、漆喰は壁だけでなく屋根にも多く使われています。屋根は壁よりも日射や雨などの影響を受ける部分ですが、それを考えるならば、耐久性など、漆喰の優れた性能を伺い知ることが出来ます。
漆喰は硬化するのに独特なプロセスがあります。と言うのも、漆喰は主成分の水酸化カルシウムが二酸化炭素と反応しながら効果する素材です。そのため、塗装の様に溶剤を蒸発させて乾燥させる物とは違います。
また、漆喰も今では現代的なアレンジがされ、合成樹脂や化学繊維が加えられた製品、そして顔料などが加えられて着色された製品もあります。
漆喰(しっくい)のメリットは?
それでは、漆喰のメリットにはどの様な物があるのでしょうか?
漆喰(しっくい)高級感がある
漆喰は高級感がある素材です。クロスを張った壁とは全く違った雰囲気を演出することが出来ます。
今の壁クロスは様々な物が商品化され、高級感の溢れる物も多く出ています。しかし、漆喰の壁はそれらの物とは一線を画す品格があります。
漆喰は素材の色だけでなく独特のテクスチュアがあります。また、塗り方などにバリエーションを持たせることによっても、様々な表情を作り出すことも可能です。この特徴は壁クロスでは出しにくい、漆喰独特の演出と言うことも出来るでしょう。
漆喰(しっくい)は調湿効果を持つ
日本の梅雨時は高温で多湿です。
ところで、漆喰には調湿機能があります。湿度が高い場合には湿気を吸い取ってくれて、湿度の低い場合には湿気を放散してくれる、という機能です。
この機能は塗る漆喰の厚さによっても異なり、厚いほど効果が高いです。
さて、梅雨時は室内でもジメジメしていて、まさに不快な環境と言えます。
そこで有効なのが漆喰の調湿機能です。漆喰を内装に使えば、雰囲気をゴージャスにするだけでなく、湿度を調整してくれるので、快適な環境とすることが出来るのです。
尚、調湿にはエアコンや除湿機などを使うことが出来ますが、これらは電力があっての設備です。エネルギーを特に必要としない漆喰は、省エネ性で遥かに勝っていると言えるでしょう。
漆喰(しっくい)は火に強い
漆喰の主成分は水酸化カルシウムと炭酸カルシウムで、無機素材となっているため火にも強いです。
実際に、漆喰は建築基準法においても不燃材料としての認定も取っています。
内装材で火に強いことは、住宅の安全性を考えても非常に重要となります。と言うのも、内装材が火に強いかどうかで、室内の人の状況が変わって来るからです。
例えば、内装材が火に弱い場合には、火災時には早く火がまわってしまいます。
しかし、火に強い物であれば、火のまわりも抑えられる効果があります。漆喰は火に強い内装材として、非常に適しているのです。
ちなみに、火のまわるスピードについて考えるならば、まさに一瞬の勝負と言うことが出来ます。
そして、仮に1秒でも早いならば、その差が明暗を分ける場合もあります。室内を燃えない素材とすることは、火のまわりを遅らせる点でも有効で、それが人命に関わる場合も出て来るのです。
漆喰(しっくい)はシックハウスにも有効
漆喰にはシックハウスにも有効です。
シックハウスは、合板などに使われている接着剤から放散されるホルムアルデヒドなどの化学物質が原因となる疾患です。
目がチカチカしたり頭痛や吐き気など、体の様々な部分に症状が出ます。最近では建築用の合板などにはホルムアルデヒドを抑えた物が普及していますが、輸入家具などでは必ずしもそうでは無く、しばしば家具が原因でのシックハウスも見られます。
漆喰は合板などが放散した化学物質を吸着します。そして、再放散させません。そのため空気中に化学物質が取り除かれて、健康で快適な環境となるのです。
漆喰(しっくい)のデメリットは?
次に漆喰のデメリットについて見てみましょう。
漆喰(しっくい)施工に技術が必要
漆喰のデメリットとしては、第一に施工に技術が必要な点が挙げられます。
内装材には漆喰の他にも壁クロスの様に乾式で施工が出来る物があります。これらはシート材を接着剤などで壁に貼り付ける物ですが、漆喰の様な湿式の物とは違って簡単に施工が出来ます。
また、最近ではのDIYで施工が出来る商品も増えていて、内装工事の経験の無い人でも取り組みやすくなっています。
その一方で、漆喰の施工は決して手軽とは言えず、様々な点で技術力を要します。そして、その技術は簡単に習得出来る物ではありません。
施工に技術が必要で、一般人にはハードルが高いことが、漆喰のデメリットと言うことが出来るでしょう。
漆喰(しっくい)は施工費用が掛かる
漆喰のデメリットとして、施工費用が掛かる点があります。
壁の内装の費用も様々ですが、漆喰の場合は平米あたり4,000円~とも言われています。
そして、これは壁クロスなどよりも高額となっています。
施工費用の内訳は、多くの部分が人件費となっています。
と言うのも、漆喰壁は熟練の左官職人による施工で、一枚一枚を丹念に塗って作られるからです。
尚、漆喰壁は複数回塗って仕上げる必要があります。そのため、費用も上がってしまうのです。
漆喰(しっくい)は工期が長い
漆喰の施工は熟練の職人の仕事です。
そして手作業で塗って行くために、どうしても時間が掛かってしまいます。
また、前述の様に、漆喰は一回塗るだけでなく、塗り重ねる必要もあります。そのためにどうしても時間が掛かってしまうのです。
ちなみに、漆喰などの湿式工法には現場の養生も大切な工程です。時間と手間がどうしても必要になります。
漆喰(しっくい)はひび割れが起こる場合がある
漆喰はひび割れが起こる場合があります。これは多くの場合が温度や湿度の変化によるものです。
住宅を構成する材料は、大小はあるものの、温度や湿度によって収縮します。
木の様な物は、湿度で収縮する素材の良い例と言えるでしょう。
ところで、住宅を構成する素材はすべて同じ比率で収縮する訳では無く、素材毎に収縮も違って来ます。漆喰と他の材料も同じで、収縮率が違うのです。
そして、漆喰を塗っている素材が収縮すると、その収縮に付いて行けなくなると、その部分にヒビが入ってしまうのです。
漆喰の補修メンテナンス方法は?漆喰の汚れの取り方は?
次に、漆喰のメンテナンス方法や、付着した汚れの取り方について紹介します。
補修メンテナンスの方法や汚れの取り方を知らないと、もしかしたら後悔する場面も出て来るかも知れません。その様な事態に備えるためにも、補修や汚れの取り方を覚えておきましょう。
漆喰(しっくい)は漆喰の補修メンテナンス方法
漆喰は時にひび割れが入ることがあります。これは基本的には漆喰を使って補修します。
補修はDIYですることも可能です。
例えば、内装の場合は漆喰を購入して来て、適度な硬さに練って塗布して対応します。室内で、防水などにあまり関係の無い部分であれば、この様なメンテナンスで大丈夫でしょう。
しかし、例えば外壁など、防水などが関係する箇所の場合は、プロの業者に依頼した方が確実です。
漆喰(しっくい)は汚れの取り方
漆喰の汚れは、その汚れの程度によって取り方が異なって来ます。
まず、ちょっとした汚れですが、消しゴムやメラミンスポンジなどが使えます。これらは薬剤を使っていないので、安全に使うことが出来ます。
次に、飲み物などのシミですが、これは中まで浸透しているため、消しゴムなどでは落とすことが出来ません。そこで使えるのがサンドペーパーです。サンドペーパーもホームセンターなどで販売しているので、手軽に使うことが出来ます。
そして、非常にガンコな汚れには、上から漆喰を塗り重ねるのも良案です。
尚、これらの手段を使うと、場合によっては掃除した部分だけが目立つこともあります。状況を見ながら丁寧に掃除しましょう。
漆喰と壁クロスとの違いは?
漆喰を壁クロスと比較してみましょう。
まず素材ですが、漆喰は基本的に天然素材です。しかし、壁クロスには天然由来の物もありますが、最も普及しているビニールクロスは石油由来の素材です。そのため、環境配慮に関しては漆喰の方に軍配が上がります。
次に機能ですが、漆喰には調湿やホルムアルデヒド吸着の効果があります。
その一方、壁クロスにも消臭などの効果のあるタイプもありますが、これも一般的な製品では無くハイグレードになります。。
また、雰囲気ですが、これは甲乙がつけ難いです。と言うのも、壁クロスにも布地のタイプの物もあり、独特のゴージャスな物までが揃っているからです。
そして、品揃えですが、基本的には壁クロスの方が幅が広いと言えます。確かに漆喰にも様々な製品が出ていますが、壁クロスの場合は素材だけでなく、デザインパターンも多いからです。
この様に、漆喰と壁クロスを比較すると、それぞれに長所と短所があり、優劣が付け難いです。
漆喰の塗り方の仕上げパターンを紹介します。
漆喰は湿式であるため、コテ以外にも様々な道具が使えるため、様々な仕上げパターンを楽しむことが出来ます。
ここでは、漆喰で作る壁の仕上げパターンに触れたいと思います。
尚、仕上げには可能な物と不可能な物があります。そのため、例えばDIYでの施工を検討するのであれば、メーカーへの確認などが必要です。
コテ波仕上げの特徴
コテ波仕上げは一番標準的な仕上げパターンと言え、飽きの来ない内装となります。
確かに飽きの来ないパターンではありますが、コテの運びによって多彩な表情を見せてくれる仕上げとも言うことが出来ます。
そのため、施工時には左官職人としっかりと打ち合わせをして、どの様なイメージで作るかを決めることをオススメします。
刷毛引き(はけびき)仕上げの特徴
市販の刷毛を使って仕上げる方法です。
刷毛を塗った漆喰の表面を走らせて付ける模様で、刷毛の持つ毛の状態や走らせる時の力加減などによって、味わいが違って来ます。
これも仕上がりについては職人との打ち合わせが重要になります。
扇仕上げの特徴
コテで半円を作りながら仕上げて行く方法です。
使うのがコテのため、ある程度の技術力が必要になります。
この仕上げのポイントは円の大きさを均等にすることです。組み合わせる半円の大きさが違う場合、壁全体の均整が取れなくなってしまい、美観が悪くなってしまいます。
きれいに仕上げるためには、やはりプロの業者に依頼するべきでしょう。
スポンジローラー仕上げの特徴
市販のスポンジローラーを使っても、良い味わいの壁を作ることが可能です。
この仕上げは簡単の様に思われますが、これも独特の雰囲気の壁を作ることが出来ます。
手で付けるパターン
漆喰のパターンは手を使って作ることも可能です。
手で付けるテクスチュアは変化を自在に作ることも出来る溜め、「壁作り」を楽しむことが出来ます。これは家族が参加して作ることも可能ですが、あまりにも乱暴にすると下地が見える場合も出て来ます。
この場合もやはりプロが立ち会った方が、より確実な施工になります。
その他のアイテム
漆喰にパターンは様々なアイテムが活用出来ます。
ゴムのローラーや台所のスポンジなど、アイデア次第で様々な可能性が出て来ます。ただし、プロのアドバイスは必要です。パターン作成の際はしっかりと相談して決めましょう。
しっくいは仕上げ材としておすすめできるのか?
漆喰の概要からメリットとデメリット、そしてパターンなどを見てきました。
漆喰は非常に多彩な顔を持つ素材であることが分かったと思います。
また、壁クロスとの比較をしてみて、長所や短所が双方にありますの。
漆喰自体は内装材としては天然素材の漆喰はおすすめできる仕上げ材になります。
漆喰について、特に思い出したいのが、高級感や調湿機能、そしてシックハウス対策に有効な点です。
これらは室内の雰囲気を良くするだけで無く、快適で健康な部屋造りに有効であることを意味しています。
住宅の役割としては、生活する人を屋外の厳しい環境から守る点が重要ですが、室内環境を整えて、心地よい生活を作り出すことも重要となります。
漆喰はその様な条件を見事にクリアする素材です。内装材として視覚的にも空気の面でも雰囲気が良くなるメリットが大きいので、オススメが出来ますよ。